着物でお出掛け

着物って、着るだけで気分がちょっと特別になるんです。うちはそんな着物の楽しさをもっと感じてもらいたくて、みんなでお出かけする会を開いてます。浅草をはじめ、いろんな場所に行って、季節や風景を着物で楽しんでます。ブログでその様子をちょこちょこ紹介してるので、よかったらのぞいてみてくださいね。

着物の染色技法として1番有名かもしれない、藍染。デニムでもお馴染みですね。

藍染自体の歴史は古く、聖徳太子の冠位十二階の紫は藍染だったという話も聞いたことがあります。草木染の一種で、抗菌作用が強いことから、武士の肌着や赤ちゃんの産着に用いられたり、燃えづらいことから江戸の火消しの半纏にも使われていました。地名にも紺屋町という地名が全国にあります。


さて、色のイメージはなんとなくつきますが、他の草木染めと何が違うんでしょうか?

大抵の自然原料の染色は、素材がその色をしており、色素を抽出するパターンが多いです。紅花などが有名でしょうか。藍の場合は、蓼という植物の緑の葉っぱに、ある成分とくっつくと青くなる素があり、それを人の手でくっつけてあげるというものです。興味がある方は調べてみてください。

今回はジャパンブルーと言われる日本の染色技法を体験しに行ったお話です!!



向かったのは埼玉県、草加市

今回はこちらにある「かえる染工」さんにお邪魔しました。

こちらは藍染の原料となる蓼くん。蓼食う虫も好き好きのたでくんです。この葉っぱを乾燥させ発酵させたものが「すくも」と呼ばれます。徳島の阿波藍などが有名ですね。こちらではすくもを仕入れ、染色をする工場になります。

これがすくも。これを灰を溶いた灰汁で発酵させて、青くなる素を作ります。灰汁というと濁ったイメージですが意外と透明です。粘度があり、アルカリ性。

これらを地中に埋まった甕に入れ、発酵させていきます。発酵のために餌となるふすまと日本酒をあげます。藍の甕はこの菌が元気に発酵しているかと、藍染の成分が残っているかで元気が変わります。毎日着物を染めることはできず、二日おき、3回も染めればもう使えなくなってしまうそうです。

左が元気な方、藍の花と呼ばれる泡が立ちます、右は赤みがなくなり、発酵も止まっている様子。


さて、今回藍染を実際に体験するのは、

浅草を代表する人気ロックバンド「super light wide」のギターボーカル、YASUと

同じく「super light wide」のドラマー、yasu。

着物姿が最高にかっこいい2人です。


流石に着物から着替えました笑

帯揚げサイズの正絹の生地に、輪ゴムや割り箸を使って絞りをしました。

一体どんな柄になるのでしょうか??

藍染は一回では染まりません。60秒浸しては、空気に触れさせて酸化させます。この時に青い成分が生地にくっつきます。これを何度も繰り返すことによって濃い藍色になっていくのです。


エプロンが似合います。

6回ほど繰り返した後、輪ゴムと割り箸を外すと、、、

おー!藍染っぽい!でもなんか茶色いですね。。?

というのも、藍染の液に入っているふすまやすくもの植物繊維が細かく入っており、濁っています。そのせいで茶色くなるんですね。これから洗っていくわけですが、藍染は大量の水を消費します。なので、川のそばや湧水があるとこで行われていることが多いそうです。


青が冴え、無地のところが白くなりました!

広げてみると…


こんなに綺麗な色に染まりました!!!!

青が濃いところと淡いところがあるのは、染めた回数や付着具合の違いによるものです。


これを着物の場合は13m村なく染めなくてはなりません。

その難しさから近年は化学染料を用いたものや、併用したものなどいろいろな工夫を凝らしたものが増えました。しかし人の手で染める藍染の美しさは、ここにしか無いものがあるんだと実感させてくれる、そんな経験になりました。




この後、当店のお客様にも藍染の奥深さを体験していただく会を開催致しました。

みなさん貴重な機会に真剣に職人さんの話を聞き、自分だけの藍染作品を思い出に作られました!

2023年7月祇園祭を見にこないかと、京都に本社がある問屋さんからご招待をいただき、

お客様と観光に行ってきました。

せっかく夏の京都、といえば暑いのなんの。日差しも強く、あまり風も動きません。

人ごみもさすがです。

提灯に灯りがつくのも夕方以降。なら昼間は避暑がてら山の方に観光に。

企画担当がずっと行ってみたかった、瑠璃光院に足を伸ばしました。


紅葉の時期が人気な映えスポットとして有名で、整理券が必要だったり、人が多すぎて見れなかったりという場所ですが、この時はみんな祇園祭目当てだからかとても空いていました。



漆塗りの机や床に新緑が映り込み、幻想的な世界を映し出します。

近くに川も流れ、せせらぎと涼しい風が抜け、気持ちの良い時間が流れていました。



せっかくなのでお庭を眺めながら一服。着物が似合います。



そして晩御飯を食べたら(ここだけの話、普段予約も取れない人気イタリアンのお店がたまたま予約が取れ、とても美味しかったです、店長には内緒です。)いざ祇園祭へ!


京都市内を練り歩きます。夜とはいえ気温は30度ほど、浴衣がちょうど良い気温でした。

お囃子が聞こえ、人の喧騒も、今日は高揚感に変わります。


たまたま舞妓さんにも会えました。




帰りは(店長に内緒で)ビール!!

山形県米沢市。こちらに昔からお取引させて頂いているメーカーさんがあります。


その名は「菅原工房」


養蚕業から始まったこちらは、米沢紬を織るだけでなく、唯一無二の漢方薬での染色をされることでも有名で、朝鮮人参を使った下染は特許も取得されています。

雪国の米沢は冬には何メートルも雪が積もり、新幹線が止まることもしばしば。寒い地域だからこそ、着物も人柄も暖かい。そんな菅原工房さんにお邪魔してきました。




米沢駅では、ホームにお着物が飾られています。こちらが菅原工房の作品。

地元の名産として、地域の人々にも愛されています。




伺ったのは11月の半ば。もう降雪に向け、庭の木々や生垣には雪除けがかけられます。


実際に染織する原材料となる漢方薬や、絞りの実演などを見せていただきました。



染め上がるとこんな素敵な柄が浮かび上がってきます。

絞りの技法は難しく、有松や鳴海でもできる人がどんどん減っています。

今現在こちらでは、工房の中と社長の弟さんが愛知で絞りを行っています。



染色体験として、染めてみました。使う色は4色しかないのに様々な色に混じり合い、独特のグラデーションと発色を実現します。山形大学との共同研究されたというイオン染で、柄が浮かび上がってくる不思議なハンカチを使い、着物の染色を勉強できました。

米沢市内の風情あふれる観光スポットや隠れ家的な古民家でお食事も堪能しました。


今回は着物でお出かけ企画スペシャルバージョンと致しまして、工房見学ツアーを開催!


ご協力いただいたのは、当店でも大人気のアトリエ、「朔」です。

プロデューサーである平山博之先生と、友禅の職人兼デザイナーの平山優子先生のご夫婦で手がけられる作品は、他にないテーマ性とデザインのお着物ばかり。

そんな作品たちが生み出される現場を見に行ってきました!今回は体験記事パート1!


アトリエでは優子先生が中国茶でおもてなしてくださいました。優子先生は作品のモチーフとして古代中国の説話や色柄などを取材されることも多い方。実際に紙の世界だけでなく、実際の文化として触れていらっしゃるそう。

アトリエの内装はとても雰囲気が厳かな、京都らしい縦長の構造。手前が展示コーナーで奥が作業場になっています。飾られている装飾品の中で特に目を引くのは掛け軸。手書きの対の掛け軸には「朔」のテーマになっている新月と満月、古代中国の星座に阿吽の唐獅子が描かれていました。この獅子がまた可愛いんですよ。

奥の作業場では実際にお着物に筆を入れているところを拝見。

作業場は工場などではなく、マンションの一室。一つ一つ大切に、丁寧なものづくりをされている。