こんにちは。きもの処 淺草遊粋、店長の安永です。
着物姿を考えるとき、最初に目が向くのは着物と帯だと思います。どの着物に、どの帯を合わせるか。それだけでも十分に楽しい時間ですが、最後にバッグと草履を加えたとき、装い全体の印象がすっと整うことがあります。
バッグと草履は、着物姿の脇役のように見えて、実際に外へ出るときには欠かせない小物です。見た目の美しさだけでなく、持ち物を入れる、歩くという役目もあります。今回は、色合わせと使いやすさの両方から、私なりの考え方をお伝えします。
最初に考えたいのは、その日の過ごし方です
小物を選ぶ前に、どこへ行き、どのくらいの時間を過ごすのかを思い浮かべてみてください。短い時間の食事なのか、浅草の街を長く歩くのか、室内で座る時間が長いのか。予定によって、必要なバッグの大きさや草履に求めることが変わります。
装いの雰囲気だけで選び、当日になって持ち物が入らない、長く歩くには不安があると気づくと、気持ちに余裕がなくなってしまいます。美しさと使いやすさのどちらか一方ではなく、その日を心地よく過ごせる組み合わせを考えることが大切です。
「この着物だからこの小物」と先に決めつけず、予定、着物、帯、小物を一つの組み合わせとして見ていきましょう。
色は、まったく同じにそろえなくても大丈夫です
バッグと草履の色を、着物や帯とまったく同じ色にしなければならないと思われる方もいらっしゃいます。けれど、すべてを同じ色でそろえることだけが、まとまりではありません。
着物の柄に使われている色を一つ拾う、帯の中の落ち着いた色へつなぐ、帯締めや帯揚げと響かせるなど、色の関係をつくる方法はいくつもあります。同じ青でも、明るい青と深い青では印象が違います。その違いを楽しんで構いません。
反対に、着物と帯が落ち着いた色合いなら、バッグへ小さな差し色を置くと、装いに視線の留まる場所ができます。目立たせたいのか、なじませたいのかを考えると、選びやすくなります。
バッグは、入れたい物を先に並べてみましょう
バッグを選ぶときは、見た目だけでなく、その日に必要な持ち物を一度並べてみることをおすすめします。スマートフォン、財布、手ぬぐいなど、実際に使うものが無理なく収まるかを確認します。
ぎりぎりまで詰め込むと、必要なものを取り出すたびに時間がかかります。着物の袖や帯まわりを気にしながらバッグを扱うことも考え、開け閉めのしやすさや持ち手の長さも見ておくと安心です。
小さなバッグが装いに合っていても、荷物が多い日には別の持ち方を考えることがあります。写真に写るときの見え方だけでなく、一日を通して使いやすいかを想像してみてください。
草履は、色だけでなく状態と歩く時間も確認します
草履は足元にあるため、着物と帯ほど目立たないように思えますが、立ち姿全体を見たときには大切な要素です。バッグとのつながり、着物の裾とのバランスを見ながら色や雰囲気を考えます。
そして、実際に履くものですから、歩く時間や草履の状態も忘れてはいけません。久しぶりに使う草履は、鼻緒、台、底などに気になる変化がないか、外出前に確認してください。
見た目だけでは分からないこともあります。長く保管していたものや、履いたときに違和感があるものは、無理に長時間使わず、必要に応じて現物を見ながらご相談ください。
手元にある小物を、まず一緒に並べてみてください
新しいものを考える前に、今お持ちのバッグや草履を着物と帯のそばへ並べてみると、思いがけず合う組み合わせが見つかることがあります。単独で見たときには地味に感じた小物が、着物の柄の色を引き立てることもあります。
並べるときは、一つずつ近くで見るだけでなく、少し離れた場所から全体を眺めてください。スマートフォンで写真を撮り、画面の中で見比べるのも分かりやすい方法です。
候補がいくつかある場合は、同じ着物と帯の横へ順番に置いて撮影しておくと、違いを比べやすくなります。公式LINEで相談する場合も、その写真があると、どの組み合わせで迷っているのかを共有しやすくなります。
お気に入りの小物から装いを考える日もあります
着物から順番に決めなければならないわけではありません。お気に入りのバッグを使いたい、久しぶりにこの草履を履きたいという気持ちから、着物と帯を選ぶ日があってもよいと思います。
小物を出発点にすると、いつも同じ組み合わせだった着物に、違う表情が見えてくることがあります。着物を増やさなくても、手元のものの見方を変えることで、装いの幅は広がります。
私が小物合わせで大切にしたいのは、決まりだけで答えを一つにしないことです。使う方がどのような雰囲気を心地よいと感じるのか、その日をどのように過ごしたいのかを伺いながら考えます。
迷う時間も、着物を楽しむ時間です
二つのバッグを前にして迷うこと、草履の色を変えて写真を撮ってみることも、着物を楽しむ時間の一部です。最初から正解を当てようとせず、実際に並べたときのご自身の気持ちを大切にしてください。
手元にある小物をどの着物へ合わせればよいか分からないときは、着物、帯、バッグ、草履を一緒に写した写真をご用意ください。使う場面や、なりたい雰囲気も一言添えていただくと、お話を整理しやすくなります。
小物が変わると、着物を着る日の気分も変わります。ご自身らしく、そして無理なく一日を過ごせる組み合わせを一緒に見つけていきましょう。きもの処 淺草遊粋、店長の安永でした。



